木の家・古川設計室    
   
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  熊本の夏物語
熊本の夏日は、年間149日間もある。年間降雨量は2000ミリと多い。緯度はイラクのバクダットと同じで、世界の主要都市のズーッと南方に位置している。先進欧米諸国と全く違う気候なのに、欧米の住宅工法を参考にしての九州の家づくりには疑問が多い。気候風土無視の代表は、高気密高断熱住宅だろう。九州でも厳寒の日は年に1週間ぐらいある。鹿児島だって雪が降ったこともある。その1週間の寒さが脳卒中を起こすとか、恫喝商法まがいのコピーで高気密高断熱住宅会社は住宅販売を行う。1週間の暑さ寒さ解消が、残りの358日に害を与える。
人が、快適・不快を感じるのは温度だけではない。温度だけで表現するのが1次方程式だ。しかし、人の感覚は、温度・輻射熱・湿度・風・更に気分まで複雑に絡む高次方程式だ。難しい。素人にはわかりやすい温度だけの1次方程式で解決しようとするのが、エアコン頼りの高気密高断熱住宅だ。
温度・輻射熱・湿度・風を分解して説明しよう。

2010年
熊本
東京
宮崎
鹿児島
夏日
149
123
129
169
真夏日
85
71
74
68
猛暑日
23
13
4
13
※夏日  日最高気温が25℃以上の日。猛暑日、真夏日を含む。
 真夏日 日最高気温が30℃以上の日。猛暑日を含む。
 猛暑日 日最高気温が35℃以上の日。

■温度・輻射熱
省エネのため、夏エアコンの温度は28度以上にしましょうというものだから、人は28度が快適温度と思ってしまう。湿度や風を複合的に利用すれば32度だって快適に住める。嘘だという人がいる。32度の水風呂に入れば涼しいではないか。32度の水が35度の体温の熱を奪うからだ。
まずは温度だが、輻射熱を語らないと、エアコン論に屈服してしまう。
輻射熱を説明するのに、例を2つ
例1:寒い冬、太陽が雲から顔を出せば暖かく感じ、雲に隠れれば寒く感じる。その数秒で気温が上がるわけがない。その暖かく感じるのが輻射熱である。その輻射熱は物に当たれば、物が暖められ気温も上がる。
例2:ヒーターコタツはスイッチを入れて、しばらくしないと暖かく感じないが、赤外線こたつはスイッチをいれたら、こたつの中の空気温度は上がっていないのに、すぐ暖かく感じる。これが輻射熱である。
体感温度は、発熱体温度(輻射熱)と空気温度を足して2で割れば良い。
気象庁発表の気温は31度なのに、温度計で測ればそれ以上なのは、輻射熱が地面を暖めている影響である。下の写真で説明すれば、室内の温度は31度である。縁側は35度。デッキは41度である。デッキ部が輻射熱の影響を受けているのである。輻射熱を緩和しているのが縁である。最近の庇の無い洋風住宅は、この輻射熱の41度を直接家の中にいれている。輻射熱の影響を受けないためには、軒の出と縁側で、2Mは欲しい。なんだ、昔の日本の家だ。
 
 

↑温度計は左より、41度、35度、31度を指している。

 
縁側の大事さがわかると思う
 
41度の輻射熱を家の中に入れている家
エアコン無しでは住めない

■人の体感センサー
人の温度を感じる感覚は夏と冬では違う。冬の24度は暑く感じるが、夏の24度は寒く感じる。冬と夏では、大体5度ぐらい感覚に差がある。この人感センサーの切り替えは5月と10月である。この切り替え時に、温度管理を間違えるから体調を崩す。
春からエアコンを入れ、交通は地下に潜り、自然を知らないモグラ族は冬センサーのまま、夏を迎える。
そして、エネルギーを浪費する。

■潜熱
温まり易いものは冷めやすい。逆に、温まり難いものは冷め難い。最近の住宅は、断熱性能が向上したので、一度暖めたら、なかなか冷めない。潜熱が夜まで持ち越す。スウェーデンのエコ住宅は、断熱材が26cmもあるといって真似る住宅があるが、夏季、冬布団を着るようなもの。断熱材は地域に合った厚さが良い。
夜気温は下がっているのに、寝苦しいのは潜熱である。詳しく言えば壁の輻射熱。除去するには、風通しで壁や床の温度を序々に冷ますのが良い。木製の全面網戸は効果的である。網戸に格子を付ければ、夜、安心して開け放しができる。


格子網戸は蚊帳の生活の再現みたいになる。
 
    掃出し窓を南北に開けると、熊本でもほとんどエアコンなし
の生活は可能。

■風
熊本は西に海がある。夏は陸地が温められるので、西から風が吹く。西から風を取り入れたいが、西日も入ってくる。西陽は潜熱量が大きいので、窓の位置を低くして輻射熱の影響を少なくする。当然出口を考えないと風は入らない。建物の南の地面より、北の地面が低温である。その温度差で、空気が動く。無風状態でも、家の中で風が起こる。その風の通り道を確保するために、欄間をつける。
なんだ、昔の日本の家だ。
気温が同じでも、風があれば涼しく感じる。扇風機を廻しても気温は下がらないが、人の体の汗腺から出た汗の気化熱で体温の熱を奪う。エアコンで温度を下げれば、汗腺は閉まったままで開かない。健康にも良くない。子供をエアコンの部屋に住まわせたら、汗腺が自分は不要な存在と思い、閉ざしたままになる。そして退化する。本当に汗をかかなければならない時、汗腺が開かないのが無汗症である。
一人の1台のマイ扇風機を持とう。

 
欄間を付けて風の道をつくる
 
西の窓は低くする

■湿度
ナイロンの肌着と木綿の肌着を着ればとどちらが爽やかかと問えば、全員木綿の肌着と答える。吸湿効果で体感湿度を下げるからだ。最近の住宅は結露防止対策で、部屋内にビニールを目貼りする。ナイロンの肌着を着ているようなもの。珪藻土で吸湿効果があるという人がいるが、下地にビニールがあれば効果薄。
木の家と、ビニール目貼りの家を比較するに、実験装置をつくった。内装に木で仕上げた箱と、ビニールクロスを貼った箱に、夫々、人と見たてたお湯を入れて比較してみた。木で仕上げたもの方がビニールで仕上げたものより湿度は12%低い。木の箱が吸湿効果が高い証明である。
この木綿の肌着や木の仕上げと同等の建築内装材は、三和土・藁畳・漆喰・板壁である。なんだ、昔の日本の家だ。



左の木の箱の湿度68%    右のクロスの箱の湿度80%

■気分
四季を体験する日本人は、視覚・聴覚で自然を感じる。すだれを見たら涼しく感じ、暖簾の動きで風があるかのように錯覚する。風鈴の音や鈴虫の音でも涼を感じる。
体感温度は1〜2度低く感じる。エネルギーゼロの手法を使わない手はないだろう。

■緑
地面の照り返しがあっても、緑の表面温度は33度を超えない。西から風が来れば、西方向の樹木を抜けた風はラジエーター現象で、気温が33度近くに落ちる。大体木10本が目安である。

■草
アスファルトの表面温度は60℃にもなる。砂利でも50℃。草は33℃で、それ以上あがらない。南側にレンガ等のデッキを作ることは50〜60℃のヒーターを置いていることと同じ。草の方が良い。
   
           
   
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